『8 Mile』貧困とラップミュージック


VN:F [1.9.22_1171]
あなたの映画評価は何点?
Rating: 3.8/5 (4 votes cast)
映画の評価(5点満点)

★★★☆☆

音楽は好きなのだが、ラップとか、ヒップホップとか、生粋の日本人の自分にはその本当の良さが分からない。無性に聞きたくなるということがないのだ。しかし「かっこいいな」と思うことはある。それがエミネムだったのだけど、何というかはやりに流されただけかもしれず、入れ込むようなことはまったくなかった。

そう、そのエミネムが自らの半自伝的な作品として主演した『8 Mile』は、荒廃した90年代のデトロイトを舞台にラップバトルを繰り広げる不良たちの青春映画。その根底に流れているものは「貧困」である。

8 Mile


90年代のデトロイト。ラビットは「シェルター」と呼ばれるクラブで繰り広げられるラップバトルに出場していた。ラッパーとしての腕は立つが、自身は白人であり、黒人たちの目は冷ややか。

恋人と別れたため、母親の住むトレーラーハウスへと戻るラビットだが、母親は自分の先輩のてごめになっている状態。働こうとせず、頼りにしているのは他人のお金だ。

プレス工場で働きながらラップ音楽で成功することを夢見ているラビットだが、同じ夢を抱いているはずの仲間ともうまくいっているようですれ違う毎日。自身のラッパーとしての才能をうまく開花させられずにいた。そんなときに、デトロイトから抜け出そうとしている女性モデルのアレックスに出会う。デトロイトから抜け出すためのチャンスは最大限に利用するいう彼女に、周囲の仲間とは違った魅力を感じたラビット。二人はひかれあっていく。ラビットも自身も夢へのチャンスをつかもうと前向きになるが、裏切られるハメに。

このどん底からはい上がるため、ラビットは再び「シェルター」でラップバトルに挑む。

ラップバトルのかっこよさがどうのこうのというより、この映画の根底に流れているのは貧困という苦しみである。90年代のデトロイトの社会情勢がどうだったか詳しくはないが、あまりに荒廃してしまっている。「8 Mile」の音楽をバックに見せられる、その街の光景には息を飲む。

貧困は人を強くするが、つまるところは悪であり、諸悪の根源でしかない。ラップという音楽に没頭することで唯一、若者は正気を保ち、貧困から脱するための夢と希望を持つことができたのだろう。そして、エミネムは成り上がったわけだ。

アメリカの自動車産業の盛衰に翻弄されたデトロイトの人たちの状況をみると、なんとも言葉にしにくいものがある。日本もこれから確実に貧乏になっていく人たちが増えるわけで、この映画に描かれている街のような場所が生まれてくるのかもしれない。そう思うと、背筋に冷たいものがよぎる。

だからこそ、エミネムのような表現が生まれたという見方ももちろんできるが、できれば貧困は避けたいものだ。貧困は悪だ。

8 Mileの監督
カーティス・ハンソン
8 Mileの出演
エミネム
キム・ベイシンガー
ブリタニー・マーフィ
メキー・ファイファー
エヴァン・ジョーンズ
オマー・ベンソン・ミラー

『8 Mile』貧困とラップミュージック, 3.8 out of 5 based on 4 ratings

タグ: ,

トラックバックURL(お気軽にどうぞ)