『ニュースの天才』創作は事実を凌駕する?!


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★☆☆☆☆

ネットが普及した今「マスコミのニュースがみな事実である」なんて信じるお人好しはいなくなったと思う。だが、非日常を楽しませてくれる他人事な事実を求めたい気持ちはどこかにあるもので、毎日ニュースをチェックしたり、雑誌を買ってしまう。記事の内容が正しかろうとなかろうと、誰も傷つかずに、読者が喜ぶならどんなネタでもOKだと思うのだが、当の本人たちにはそうもいかないこともある。

『ニュースの天才』は、アメリカで実際にいた一流政治雑誌のでっち上げ記者を描いた作品。これがマスコミの実態だ、と言われてもいまさらぜんぜん驚かないんだけど。

ニュースの天才


大統領専用機に唯一置かれている伝統ある政治雑誌「ニューリパブリック(The New Republic)」。その若手記者スティーブン・グラスは、センセーショナル記事で読者を魅了するスター記者だ。それだけに編集長や同僚からも一目置かれる存在。今日も政治パーティーの裏で繰り広げられたらんちき騒ぎのスクープ記事に追われていた。

そんなグラスが心酔していた編集長がオーナーとのいざこざで首になる。新たに編集長に選ばれたは、同僚のチャック・レーン。グラスたち編集部は彼の就任を決して快くは思っていなかった。

グラスは新編集長の下、ある少年ハッカーの話をスクープする。ハッカー少年にしてやられたIT企業が多額の報酬で彼を雇って解決しようとしたことを嗅ぎつけた。その場に同席することに成功したグラスは「ニューリパブリック」に“ハッカー天国”というスキャンダラスな記事を寄稿する。

この記事を目にした「フォーブス・デジタル・ツール(Forbes Degital Tool)」の編集長は自分たちの専門領域でスクープをさらわれたと激怒。編集長にどやされ、寝耳に水のフォーブスの記者はこのネタを調査し始める。しかし、記事に登場するIT企業やハッカーの存在すら確認できない。この記事がでっち上げであることに気付く。伝統あるニューリパブリック誌の失態を記事にしたいフォーブスは、ニューリパブリックに事実関係を求めてくる。

ニューリパブリックの編集長レーンは、グラスと雑誌を守ろうと事実調査を行っていくが、どうみても不審な点が多い。グラスはハッカーにだまされたのではないか、と寛容な処分を考えていたが、どうやらグラスがでっち上げた捏造記事だということが判明する。

しかも、その後の調査で、過去にグラスが書いた記事のほとんどが同じでっち上げだったことが分かってくる。

正直、映画としての見どころは少ない。ビリー・レイ監督はこのバカ話をエンターテイメントに仕立てるつもりはもうとうなかったのだろう。たんたんとウソにウソを塗り重ねる様子と、ウソがばれて動揺するグラスを描くことに徹している。映画としての盛り上がりもなにもあったものではないが、本当にこういうことが実際にあるのだから、それはそれで事実というのは面白い。まさに「事実は小説よりも奇なり」である。

ただ、この映画のDVDにはスペシャルコンテンツが用意されており、そこにニュースショー「60ミニッツ」のドキュメンタリーが収録されている。これと併せて見ると、本作を数倍楽しむことができる。

本物のスティーブン・グラスがしたり顔で言うのだ。「実際には存在しない人や団体を取り上げているから、クレームが来ることがなかった」と。

本当にそうである。誰も傷つかず、読者は面白がり、雑誌も売れる。そこに問題はあるのだろうか? ニューリパブリックのようなエスタブリッシュな媒体でなければ、今でもグラスはスター記者だったかもしれないわけだ。

ニュースの天才の監督
ビリー・レイ
ニュースの天才の出演
ヘイデン・クリステンセン
ピーター・サースガード
クロエ・セヴィニー
スティーブ・ザーン

『ニュースの天才』創作は事実を凌駕する?!, 3.8 out of 5 based on 10 ratings

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