『ミスト』見えない恐怖と群集心理、そして絶望


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★★★★☆

一寸先は“霧”――高原にドライブに出かけると、こういう状況に出くわすことがある。普段では味わえない状況が楽しくもあるのだが、周りが一切見えないというのは本来、恐怖心を駆り立てるものなのだ。

スティーブン・キングのホラー小説を映画化した『ミスト』は、まさに霧の先の恐怖が題材だ。狭い空間に閉じ込めらた人間たちの群集心理と、見えない恐怖との戦い。緊張が最高潮を迎えたとき、あなたならどう行動するだろうか?

ミスト


大嵐が襲ったアメリカの田舎町。湖畔にあるデビッドの家にも立木が倒れ、窓ガラスが割れる被害が出た。ボート小屋も隣の家の立木が倒れ、押しつぶされていた。デビッドは隣人に保険の問い合わせにいくと、彼の車もぺしゃんこ。街への買い出しに一緒したいと頼まれる。ふと、湖を見渡すと、対岸には濃い霧が迫っていた。

息子のビリーを連れ、3人で街のスーパーマーケットへ向かったデビッドだが、着いたころには完全に霧に包まれていた。

すると、血まみれになった街の住人がスーパーに逃げ込んでくる。

「霧の中に何かがいる!」

突如、スーパーは地震に襲われる。何やら天変地異が起こっているようだ。安全のためスーパーに足止めされたデビッドは、踏み入れた奥の倉庫で何物かの奇妙な音と外からシャッターを押しているところを目撃してしまう。誰も信じようとしないが、濃霧の外には確実に何かが潜んでいる。

スティーブン・キングの状況設定の勝利かもしれないが、スーパーマーケットに閉じ込められた人間の群集心理と、外にいる得体のしれないものが襲ってくる恐怖というのは実に映画的だ。霧の先の恐怖はちょっと安っぽく感じるところもあるのだが、閉鎖的な空間で恐怖が高まっていくさまは、そりゃ恐ろしいものがある。

恐怖で暴走し出す宗教かぶれのおばさんなんかは、恐怖のあまり預言者へと変貌し、おびえる群集を扇動し始める。しまいには生贄(いけにえ)を捧げ出すことを考え始める始末だ。こういった状況で、最も恐ろしいのはなにより人間だったりするのだ。心理が生み出す恐怖を巧みに描けるのは、スティーブン・キングの話作りのうまさにつきるだろう。

この映画のラストは予告通り衝撃的だ。

ぜひ自分で見て体験してもらいたいのだが、あまりに絶望的である。どうやら原作とは異なる独自のラストになっていらしいのだが、ここまで残酷に作り変えてしまった監督というのはいったいどういう神経をしているのか? 原作を読んでない自分は原作のラストがどうなっているのか、気になったりしている。

ミストの監督・製作・脚本
フランク・ダラボン
ミストの出演
トーマス・ジェーン
マーシャ・ゲイ・ハーデン
ローリー・ホールデン
アンドレ・ブラウアー
トビー・ジョーンズ

『ミスト』見えない恐怖と群集心理、そして絶望, 4.5 out of 5 based on 8 ratings

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