『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』逆回転人生の行く先


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映画の評価(5点満点)

★★★★☆

自分が好きな映画はヒューマンドラマが多い。やっぱり映画にはさまざまな人生の生き様を描いてほしいという思いがどこかにあるのだろう。そんな好みにピンポイントで刺さる映画に出会うと、「やっぱり映画っていいなあ」と改めて思うわけだ。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、そんな自分の心を捉えてくれた。逆回転の人生を送るというまったく不思議な設定の映画なのだが、ベンジャミンの生き方になんだか感じるものがあった。人生をかたち作るのは経験なのだ、と。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生


第1次世界大戦が終了した日、ニューオリンズで1人の赤ん坊が生まれる。赤ん坊を生んだ母親の命も危険な状態。病院に駆け付けた父親は赤ん坊の姿を見て仰天する。老人のように醜い姿なのだ。この状況に動転した父親は赤ん坊を抱き連れ、病院を駆け出し、老人ホームの入口に18ドルを添え赤ん坊を置き捨てる。

赤ん坊を見つけたのは老人ホームの介護士として働いていた黒人のクイニーだった。赤ん坊を診察してもらった医師には「生まれつき老人で先は長くない」と宣告されるが、彼女は奇跡の子だ、としてわが子として育てる決心をする。名前はベンジャミン。

ベンジャミンは老人ホームで御迎えを待っている老人たちとともに育っていく。先は長くないと診断された彼だが、そんなことはなかった。次第に若返っているようだった。若者(初老)になったベンジャミンはタグボートの船員として仕事を始め、そしてニューオリンズを旅立つ決心をする。自分の人生を歩み始めるのだ。

老人として生まれつき、若返っていく人生を歩んでいくという不思議な運命を背負ったベンジャミン。その人生の中で、普通に恋をし、結婚し、子供を持つ。しかし、家庭を築こうとはしなかった。それが彼の人生における1つの結論だった気がしている。

人間はさまざまな経験をすることで、成長する。肉体は衰えるかもしれないが、それを乗り越える強さを兼ね備えていくことで、生きている実感を得ることができる。老年期は子供になってしまう彼にはそれができないだけに、子供に残せるものは過去の記録しかないと思ったのだろう。

人生を本当の意味で謳歌できる時間というのは、実は後年の方にあるではないかと思う。だから、いつの歳でも多くのことを経験するのが大切なのだ。それが積み重なり、最期に生きたという実感を味あわせてくれる。老人として生まれ、赤ん坊として死んでいくという、普通の人とは逆回転の人生を送ったベンジャミン・バトンはそのことをはっきりと際立たせてくれたのだ。

飲み屋で意気投合したおじさんに、「若いころは○○だった」という昔話をされると煙たいかもしれない。しかし、それは彼が人生を楽しんだ証拠なのだろう。そういった話を多くできる人ほうが人生を楽しんだことに違いないのだ。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生の監督
デビッド・フィンチャー
ベンジャミン・バトン 数奇な人生の出演
ブラッド・ピット
ケイト・ブランシェット
ティルダ・スウィントン

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』逆回転人生の行く先, 3.8 out of 5 based on 6 ratings

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