『母なる証明』母子の絆、息子への無償の愛


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プアーです。あのポン・ジュノ監督の映画『母なる証明』がなんと地元で急遽公開。

母なる証明

1800円という大枚をはたいて緊急鑑賞。もしキリストに会えるとしたら、あなた1800円を惜しむだろうか? たった1800円で奇跡に遭遇できるかもしれないと、そんな期待を胸に映画館に向かったわけであるが、内容はなかなかすごかった。ちなみに僕が映画館で1800円をフルに支払った映画はこれが2作目だ。僕が『母なる証明』にどれだけ期待してるか、理解できよう。

本作の内容はお母さんが息子の無実を晴らしますよというもの。原題は『MOTHER』だが、日本版は『母なる証明』。ちょっとした違いだが、この翻訳がこの映画の根幹に関わっている。ここら辺の心使いが憎らしいし、翻訳者の気合が伝わってきてとてもうれしい。なぜ「証明」なのか、その点もあらかじめ留意したうえで見ると面白いと思う。

さて、タイトルが示す通り、本作に限っていえば最初に母親役のキム・ヘジャについても触れなければいけない。韓国では国民的な女優らしいのだが、本邦初登場だろう。お隣韓国を代表するだけあってすごい目力である。とにかくキム・ヘジャを生かすためにすべての役者が動いてるといっても過言ではない。そのくらいに際立った演技で、圧倒的な存在感を放っている。このキム・ヘジャの演技に説得力がないと、物語が母親がギャーギャーうるさいだけの映画や、見ていてくたびれるだけの映画に落ちてしまいかねず、この女優の映画に置ける功績には莫大なものがある。

次に『母なる証明』でも『殺人の追憶』『グエムル』と同様にポン・ジュノルールといえるものが適用されている。つまり「倫理観、道徳観、正義、合理性は映画の中では必ずしも重要視されない」という特殊なルールである。

ポン・ジュノの映画作りはとても緻密なのに、登場人物は極めて情動的に行動する。だから観客は常に幻惑されるのだ。やはりキチンとルールを踏まえないと、観客にはただ勢いあるオバちゃんが暴走している作品にしか写らないので注意が必要なところである。

母子の絆(きずな)を扱った映画の代表格にラース・フォン・トリアー監督の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が挙げられるが、こちらは主人公を極限状態に追い込むための道具として母子の情を扱っているのに対し、『母なる証明』は母子の絆自体が完全な主題となっている。前者の作品は別に主人公が極限状況に追い込まれれば正直何でもいいのだろうがが、後者は完全に母子の関係でなければ物語が破綻する。どちらも優れた監督には違いなくラストで見ているものが「うわああああ」となるのは一緒だが、テーマの扱い方や完成度でいえばポン・ジュノに軍配が上がる気がする。

ビヨーク 対 キム・ヘジャ
デンマークの鬼才ラース 対 韓国の巨匠ポン・ジュノ

と対比しながら見るのがなかなかオツな見方だと思う。

とにもかくにも、ポン・ジュノはすごい監督である。日本で見る機会があるならばとりあえず劇場に足を運んでみるという考えで間違いない。この監督はそれくらいすごい監督なのである。

母なる証明の監督
ポン・ジュノ
母なる証明の出演
キム・ヘジャ
ウォンビン
ン・グ
ユン・ジェムン
チョン・ミソン

『母なる証明』母子の絆、息子への無償の愛, 4.6 out of 5 based on 8 ratings

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