『サヨナライツカ』中山美穂の賭け


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映画の評価(5点満点)

★★☆☆☆

過去に人気を極めた女優がカムバックするというのはいかに難しいことなのか。時が過ぎ去るというのは、一時代のアイドルを極めたものにとっては極めて残酷だ。映画『サヨナライツカ』の主演は、中山美穂にとって賭けであったに違いない。

サヨナライツカ

映画『サヨナライツカ』は、夫である作家、辻仁成の恋愛小説が原作。ストーリー自体は決して悪くない。むしろ時間軸などは小説的であり、映画的である。自分は、辻仁成の作品自体触れる機会がなかったが、なるほど広く評価されている作家の力量、イマジネーションというのはさすがに抜きん出ている。映画としては非常に成功している。

タイ・バンコク――。東京に婚約者を残し、バンコクに赴任してきたイースタンエアライン社の東垣内豊は、同社の東アジア路線拡大を引き受けるエリートだった。同僚との飲み会に現れた謎の女、真中沓子に心も身体も完全に奪われていく。25年後、イースタンエアライン社の副社長にまで上り詰めた東垣内は再びバンコクの地を訪れ、沓子に出会う。

最初は理由もなく唐突に進んでいく内容に、少々とっつきにくい感じだが、次第に引き込まれていく展開は、バックグラウンドが一切不明である真中沓子が非常に謎めいているからだ。なぜか異国の地で、お金も美貌もある女性にあんな風に誘惑されれば、男なら誰でもどっぷりつかってみたくなるし、その謎の真相を知りたくなる。しかし、この火遊びが一時のアバンチュールではなく、本気になってしまっているところがミソで、しかも25年得た後もお互いに好きだったという哀れなもの。いや、それをむしろ純愛と呼ぶのだろう。四半世紀を過ぎれば、過去のアバンチュールは実は純愛だったという方向に昇華されるというのが、この映画の恋愛観なのだ。

その点で、終始、謎めいた女を演じきった中山美穂は好演をした。これは間違いのない事実である。しかし、しかし、である。自分を含む観客の多くが、女優中山美穂ではなく、あのアイドルだったミポリンの復帰作であることを期待した。そして知るのである。もはや過ぎ去りし過去であったことを。もうあの頃の「ミポリン」はどこにもいないのである。そこにいるのは、オバサン化した中山美穂、というあらがうことのできない現実である。

繰り返すが、『サヨナライツカ』は映画として作品の出来は悪くないのだ。女優中山美穂も好演している。過去を期待をしてはいけないだけなのだ。

サヨナライツカの監督
イ・ジェハン
サヨナライツカの原作
辻仁成
サヨナライツカの出演
中山美穂
西島秀俊
石田ゆり子
加藤雅也
マギー

『サヨナライツカ』中山美穂の賭け, 3.3 out of 5 based on 11 ratings

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