『借りぐらしのアリエッティ』寂しい、寂しすぎる


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映画の評価(5点満点)

★★★☆☆

スタジオジブリ作品と聞けば、みな期待してしまう。それだけ同社のプロデューサーの鈴木敏夫氏と宮崎駿監督のタッグはすごいわけだが、では、今年のジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』はアタリか、と聞かれれば、ちょっと首をかしげたくなる。出来は決して悪くないのだが、タンパク過ぎて味が薄く、たぶん半年もすると、頭から揮発して、「そんな作品あったよね」と風化してしまいそうなのだ。あくまで娯楽として公開されているだけに、これはちょっといただけない。

借りぐらしのアリエッティ

この映画、どうやら原作があって、メアリー・ノートンのファンタジー小説『床下の小人たち』がそれ。自分は読んだことがないのだが、古い家の台所の下には小人が暮らしているというのは、小さいころに耳にしたような話だ。本作のタイトルになっているアリエッティは、そんな小人の少女で、この映画の主人公である。

14歳になったアリエッティは、「借り」に出る。小人たちは人間の住居にすみついていて、生活に必要なものを夜中にこっそり「借り」てくるつつましい生活をしている。人間に見つかれば、危険にさらされるため、あらゆる生活の中で目立たないように行動する用心深さが求められる。しかし、初めての「借り」で、アリエッティはミスを犯す。心臓病を患って療養中にきている少年、翔に見つかってしまった――。

冒頭から、緑あふれる世界と、宮崎作品にはないような、セシル・コルベルの透き通るような音楽が流れ、否応なく期待を高めてくれるのは見事だ。だが、問題は肝心の本編にある。アリエッティが初めて父親と「借り」に出て、彼女たちにとっては何もかもが巨大すぎる人間の住居の中を冒険するのだが、宮崎作品の個性のひとつであるハラハラドキドキさせてくれる冒険がない。実に冷静すぎるのである。安全な道を安全に通行できるように構築しており、終始リスクがなく、要するに、盛り上がらないのである。まあ、最初ぐらいは冷静な父親像を描くため、つかみでの盛り上がりを捨てたのだろうと許すものの、続くお母さん探索、引っ越しというイベントもどうしたことかまったく冒険がない。そうして音楽が流れ出し、終わりを告げるエンドロール。

「えっ、これで終わり?」というのが正直な感想である。

それだけに、心やさしい人間の少年、翔との交流も希薄に見える。心臓病を患うハンデがあるにしてもアリエッティとたいした冒険を共にしているわけではないから、人間と小人という関係を引き寄せることもできず……。むりやりストップマークで終了させた感じが漂っている。しかも上映時間は90分ちょっと、マジこれは寂しい。寂しすぎるよ。それとも続編ということなの?

借りぐらしのアリエッティの監督
米林宏昌
借りぐらしのアリエッティの原作
メアリー・ノートン
借りぐらしのアリエッティの企画・脚本
宮崎駿
借りぐらしのアリエッティの声の出演
志田未来
神木隆之介
大竹しのぶ
竹下景子
三浦友和
樹木希林

『借りぐらしのアリエッティ』寂しい、寂しすぎる, 3.8 out of 5 based on 21 ratings

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