『アイズ・ワイド・シャット』キューブリック監督恐るべし


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映画の評価(5点満点)

★★★★★

スタンレー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』が大好きだったが、なかなか見る機会がなかった『アイズ・ワイド・シャット』。彼の遺作となったわりには、トム・クルーズとニコール・キッドマンが絡み合うポルノチックなイメージが先行したせいか、公開当時はスルー。今回、久々にキューブリック作品を見ることになったのだが、これがやっぱりスゴイ! アクションやスリリングな仕掛けなんかなくても、その世界にグイグイと引き込んでくれる。これは、やっぱり監督の手腕がいいからなのだ。

アイズ・ワイド・シャット

この映画のテーマは、妻の浮気と夫の妄想である。円満な夫婦生活を送っていると思い込んでいる開業医の夫ビルだが、実は妻のアリスは浮気心を抱いていたことを知る。「妻が浮気していた」という妄想に強くさいなまされたビルは、クリスマスシーズンの夜の街を徘徊する。すると、見てはいけない不思議な世界をのぞいてしまう。

仮面を付けてしか参加できない会員制パーティー。深夜の郊外の城に金持ちが仮面を付けて乱交儀式を行うというものだった。パーティーに潜り込むことに成功したビルだが、参加資格のないことがバレていたため仮面をはがされてしまう。その場はある女性のおかげて放免されるものの、パーティーから帰宅したビルの周りの歯車はどんどん狂っていく。

アイズ・ワイド・シャット2

キューブリック作品らしく、一度見ただけで多くを理解するのは難しい難解な作品だ。しかし鑑賞後には独特なコクのある後味が残り、もう一度見てみたい気持ちにさせるのだから不思議だ。もちろん、キューブリックの巧みな移動カメラワークが客観的で酔うような不思議な感覚を醸し出しているし、フリーメイソンの儀式を彷彿させる仮面乱交パーティーのシーンもエキセントリックでかつ神聖で荘厳。ビルの不安な精神状態がうなるほどよく表現されている。キューブリックは人間の不安な心情を扱うのが本当にうまい!

結局、最後まであの不思議なパーティーの正体が何だったのか明らかにならないが、その恐怖と不安から、何の理由も知らない妻のアリスにビルが泣いてわびるという演出も、グンとリアルに迫ってくる。それに応じる妻のアリスもしかりだ。演じたトム・クルーズは一世一代の名演と言っていいと思う。素晴らしい。

『アイズ・ワイド・シャット』は、センセーションをあおった映画会社の宣伝施策によって、今後も傑作として語られないとしたら、これは本当に残念でならない。

アイズ・ワイド・シャットの監督
スタンリー・キューブリック
エグゼクティブプロデューサー
ジャン・ハーラン
アイズ・ワイド・シャットの製作
スタンリー・キューブリック
アイズ・ワイド・シャットの脚本
スタンリー・キューブリック
フレデリック・ラファエル
アイズ・ワイド・シャットの原作
アルトゥール・シュニッツラー
アイズ・ワイド・シャットの出演
トム・クルーズ
ニコール・キッドマン
シドニー・ポラック
マリー・リチャードソン
レード・セルベッジア

『アイズ・ワイド・シャット』キューブリック監督恐るべし, 4.1 out of 5 based on 8 ratings

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