『ゲゲゲの女房』映画版は微妙な出来


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映画の評価(5点満点)

★★☆☆☆

プアーです。みなさんには尊敬する人や憧れの人物っているだろうか?

僕にはいる。彼、水木しげる翁である。

興味ない人も彼の伝記は一度ぜひ手に取ってほしい。それだけの価値がある人物なのである。そして、その憧れの水木翁が映画版『ゲゲゲの女房』としてスクリーンに登場。これは追わざる終えないだろう。

ゲゲゲの女房

実は、僕は相当な水木しげる好きで、我が家にある水木関連本は10冊を下らない。僕はどちらかと言えば本を読む方だと思うが、マンガ以外でここまで同一の作家を集めているのは、村上春樹とスティーブン・キングぐらいである。当然、この映画に対する期待と視線も厳しくならざるを得ないのだが……。

水木しげるの人生は、昭和の激動に巻き込まれた一生と言っても過言ではない。それくらい波乱と万丈に満ちた世界である。ゲーテをたしなむインテリでありながら、自分の意思とは無関係に徴兵され、ラバウルの端に送られる。送り込まれた小隊は、自分以外は全滅、水木自身も片腕を失って帰還。その後、貸しマンガ業界で作品を発表し続けるも、赤貧を洗うがごとく、窮乏生活を余儀なくされた。その後、講談社に見出されて手塚治虫、横山光輝と並び、勃興当初の講談社の「週刊マガジン」を支え続け、もうすぐ90歳だというのに、何度目かに渡る水木ブームを迎える。水木しげるは現代に生きる巨人であり、妖怪である。本作はその水木の赤貧部分を扱った作品である。

ドラマ版の『ゲゲゲの女房』が思わず会社を休んでまで見てしまう出来の良さだったので、劇場版もかなーり期待して見にいたのだが、イヤハヤ。ちょっと簡単にまとめた水木の経歴を見てもらえばすぐに分かるほど、水木の人生はビルディングスロマン物として本当に絵に描いたような人生なのである。それゆえに、連続ドラマ向けの内容であるし、その点を留意して丁寧に作ったがたために、連側ドラマはあそこまでのヒットとしたのだと思う。

では、映画という限られた時間で水木を描くにはどうすればよいか? 貧乏な貸本時代→講談社に見出され、爆発的に世に出てくる。ここらの話に焦点を当てていくのが王道だと思うが、本作は一貫して貸本時代の貧乏シーンばかりに着目している。その結果、作品自体がトーンが低く、単調なものとなり極めて退屈に作品になってしまった。

これが自主製作であれば、挿入されるアニメと鈴木慶一の音楽と評価できる点はいくらでもあるだろう。しかし、これは列記とした商業作品である。観客におもねる必要はないが、見ている人のことを考えた作品作りをしてもバチは当たらないだろう。

ただ最後に一点、映画版『ゲゲゲの女房』はどの役者もなかなか良い演技をしているのだが、宮藤官九郎の水木の演技には眼を見張るものがある。ひょうひょうとした世間向けの水木しげるの底に眠る、水木の核心を演じようと相当苦心しあた節がうかがえる。少なくても飯を食う所の汚さ意外は、相当水木本人に肉薄してるのではないいだろうか。そう思わせる、脱帽の演じ振りである。

これから歴史上、水木しげるの伝記物は何本か作られていくであろうが、連続テレビ小説版の水木しげる役、向井理の「快演」(コレはこれで素晴らしい)と並んで映画版の水木役の宮藤官九郎の「熱演」として歴史に刻まれると思う。

水木ファンは見ても損はしないと思うがそうでない人にとってはチョット微妙な作品である。

ゲゲゲの女房の監督
鈴木卓爾
ゲゲゲの女房の原作
武良布枝
ゲゲゲの女房の出演
吹石一恵
宮藤官九郎
坂井真紀
平岩紙
沼田爆

『ゲゲゲの女房』映画版は微妙な出来, 3.5 out of 5 based on 4 ratings

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