『ゾディアック』魔力に飲み込まれたデヴィッド・フィンチャー


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映画の評価(5点満点)

★★★★☆

プアーです。新年の最初の1月は一発ガツン! と決めたくて、いろいろ評判は聞いてるがなかなか手が伸びなかった『ソディアック』をついに鑑賞。「長い、長い、いくらなんでも長すぎる」とネット上で酷評される本作だけに、覚悟して見たものの巧みな編集により思ったほど酷くはなかった。さすが映画の本場ハリウッドでもまれながらも一線で活躍し続けるデヴィッド・フィンチャー監督である。

ゾディアック


もはやアメリカの一大産業となった感のある連続大量殺人だが、本作で扱っているゾディアック事件が起こったときはまだまだ古き良きアメリカの面影が残る時代である。ちょうどベトナム戦争期と重なり、これ以降アメリカは自信を喪失し、その不安感は「アメリカン・ニューシネマ」として映画史に刻まれることになる。

そして、それは牧歌的なアメリカ像は二度と戻らないことを意味する。これに歩調を合わせるように、70年代から80年代にかけて現代に名を残すシリアルキラーたちが跳梁跋扈する。そういった意味では、象徴的と言えなくもない事件である。

しかし、いくらなんでも158分というのは確かに長い。逆に言えば、監督は何でここまでこの作品にこだわったのだろうか? メイキングを見てみると、どうやら監督はゾディアック事件のお膝元らしいのだ。彼は小さい頃にこの事件を経験し、影響を受けたという。多分当初、監督も興味本位で調べていたに違いないが、事件の持つ劇場性(暗号、連絡の悪い警察の行き違い、そして迷宮入り)これらが組み合わさって、独特の吸引力を生み、監督はその魔力に飲み込まれた。その魔性性は存分に映画にも生かされており、人生が破綻してしまう事件記者や家庭崩壊寸前まで行ってしまう主人公などが映画に上手く反映されている。

モチーフはゾディアック事件だが、その根底にあるものである。彼が撮りたかったものは、事件に翻弄される人たちであり、彼らの人間模様ということもあり、ストレートな作品に見せつつ意外と独特な作品なので、見てて体力を消耗するが、なかなか面白い作品ではある。特に、女性が惨殺されるシーンなどは、こんな殺され方するくらいなら死んだ方がマシ(まあ、死んじゃうんだけどね)というほど、凄惨極まりない殺され方をする。このシーンを確かめるだけでも、一見の価値がある。


ゾディアックの監督
デヴィッド・フィンチャー
ゾディアックの脚本
ジェームス・ヴァンダービルト
ゾディアックの出演
ジェイク・ギレンホール
マーク・ラファロ
アンソニー・エドワーズ
ロバート・ダウニーJr.
ブライアン・コックス
ジョン・キャロル・リンチ
クロエ・セヴィニー
イライアス・コティーズ
ドナル・ローグ

『ゾディアック』魔力に飲み込まれたデヴィッド・フィンチャー, 3.8 out of 5 based on 6 ratings

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